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バトル

アンティパスト










初日は絶対ここのお店に行こう、と決めていた。


イタリアンなら気を使わなくて済むし選ぶのも楽だから。


フロントに予約の電話を入れてもらいタクシーで行った。


タクシー代金40バーツ、日本円で約120円、安い!ェエェエェエ(゚Д゚;


ランプの明かりと間接照明のそのお店は半分オープンキッチンになっていて

出来ればキッチンを眺めながら食事をしたい気分だった。








吹き抜けの2階にはお客様がひっきりなしに上がっていった。


そして予約席に案内されオットが着席しようと腰を落としたその瞬間・・・






聞きなれた着メロが鳴り響いた。





日本からの電話だ。



どうやらアクシデントが起こったらしい。


「適当に注文しておいて」と慌てて外へ出て行ったオット。


形相を変え関係会社に電話をしている様子がよく見えた、が・・・


実際は国際電話のかけ方をすっかり忘れ、相手と連絡が取れないことに苛立っていたのだった。

しばらくして店内に入ってきたオット。


「日本へつながらないんだ」と一言。


心配して店のスタッフが駆け寄り事情を聞いてくれた。








そして他のスタッフにも聞いてくれたのだがやはり繋がらない。


かかってくるけどその番号のままでは返信できないという事実。


苛立ちと焦りでオットは無言になりビールを一気に飲み干した。


もうワインとか言ってる場合じゃない、アパートに帰ろう!


私は決め、そう伝えたのだけれどオットは首を縦に振らない。


ああ、息苦しい、出来れば私が店の外に出たいぐらいだ。


そんな私を気遣って2人のスタッフが元気を出すように、と明るく振舞ってくれた。


それを察したのか気を取り直すようにオットは食事を摂りはじめた。


冷え切ってしまったサービスのパン、何も言わずに食べていた。


きっと味わっている余裕などなかったに違いない。




少しだけ落ち着いた様子が見えたので声をかけてみた。


「フロントのスタッフ(日本人)に聞いてみよう、彼女8時までの勤務って言ってたし」


しばらく考えた後「うん」と小さな声でオットがつぶやいた。








それを見てスタッフは大急ぎで注文料理を運んできてくれた。


どうやら事が収まるのを待っていてくれたらしい。


異国の地で初めての客にこんなに気を使ってもらって私は嬉しくて涙が出た。


たった3種類しか頼めなかったのに最高のサービスを私たちにしてくれた。


帰るときも急いでタクシーを呼んでくれて明るい笑顔で送ってもらった。


私はバンコク最初の食事がここで良かった、間違いなかったと心から思った。


アパートに戻るとスタッフが形相を変えたオットを見てすぐさま対応してくれた。




結局の話・・・








市外局番の「ゼロ」を取ればいいだけの話だった。(´-ω-`;)ゞポリポリ














すぐさま日本と電話はつながりしばらくすると苦虫噛み潰したような顔から


晴れやかな顔へと変貌を遂げたオットがそこに・・・




そして私に向かっておもむろにこう言った。





「さ、飲みなおそうっか!」と。。。













ああ・・・疲れる・・・とてつもなく疲れ過ぎて倒れそう・・・







ポルチーニのラビオリ トリュフソース

     


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